鬱病を繰り返す元主力の共通点

鬱から復帰して再びリタイアしてしまう主力級の人達には、遅れを取り戻そうと前と同じかそれ以上に頑張ろうとする共通点があるように思う。

自身の体験談として、鬱になった時点で心の最大HPが相当減る。

少し休んで良くなったと錯覚しても、回復したのは実HPだけなので、以前のように戦うとすぐに力尽きてしまう。

 

あるべき姿の理想が高く、それに届かないボンクラーズへの怒りをため込むタイプの鬱病発症者ほど、この傾向が強いように思う。

頑固かつ不器用なため、適度に手を抜くことができず、最終的に思うように動けない自分に矛先を向ける。

自分からわざわざ毒沼に入ってもがいているようなもので、結果はお察し。

 

心の最大HPの回復には、良き理解者の存在と責任からの解放が必要であると思う。

少なくとも「休んでしまって申し訳ない、一日も早く復帰したい」と焦っているうちは最大HPは増えない。

自分の中のハードルを下げて、理想になれない自分を許してあげるしかない。

ハードルが下がれば、周囲へのイライラもおさまる。

 

ところが日本ときたら、休んでいる人がゲームや旅行をするとよってたかって叩き始める。

鬱だったらゲームする気力すらないとか抜かす。

宿屋に泊って一瞬で全回復するゲームとリアルは違う。

徐々に回復した結果、ゲームできるようになったのである。

(当然ながら、本当に仮病でサボっている人を除く)

 

また、ゲームできるようになったからといって、即復帰できるわけではない。

繰り返すが最大HPは下がったままなのである。

足を骨折して、骨がくっついた日に走り出せる人はいないし、それを咎める人がいないのと同じ。

ゲームや旅行はリハビリと同じようなものである。

 

リアルには命の木の実や秘薬はない。

HPが下がったという個性(オリジナル)を受け入れて、職場や働き方を変える他ない。

けれど主力級の活躍をしていた鬱病あがりに、企業はすぐ担当業務をあてがってしまう。

最大HPの下がった元主力がたどる道は一つである。

 

落ち着いて周囲を見てみるといい。

あなたが怒りを覚えてやまないボンクラーズは、確かにボンクラだけどクビになってない。

つまり仕事なんてそんなもんでいいのだ。

一人でボンクラーズの2倍やろうとすると死ぬ。やめた方がいい。

でも同じはプライドが許さないなら、せめて1.2倍程度にとどめておけばいい。

 

かつて全試合バリバリフル出場していた主力が晩年、体力の衰えに伴い代打のたった一打席に全てを懸ける。

格好いいではないか。戦うものとして何も恥じるところはないではないか。

武器を失ったのに同じ戦い方をして倒れるのは、はっきり言って愚かですらある。

残念ながらあなたはもう、主力ではない。

だが確かな経験は必要な戦力であり、最終的には無事之名馬なのである